雇用改善が格差是正に結びつかない社会構造。

バブルの崩壊が、日本を格差社会としたのであるが、雇用環境がバブル期に近づけば格差解消社会に戻るのかと言うと、その可能性はほとんどない。
 製造業は厳しい国際競争に晒され、人手不足と言いながらも人件費を上げられない。サービス業も国内で厳しい価格競争に晒されていて、人件費アップ分を価格に転嫁できない。それでも人材を確保するために、一律の定期昇給は行わず、辞めてもらっては困る人材、欲しい人材のみ待遇を改善するのである。これまでは経営者やエリートビジネスマンとその他という格差だけだったのが、一般労働者内に更に格差を生む土壌が生まれるのである。そして選ばれなかったものは労働経済の動向に関係なく、今後も負け組であり続けるであろう。
 ただある会社で必要でないとされた人間も、他の会社や業界に行けば必要な人材の可能性はある。このような層が奮起して適職を見つけられれば、いわゆる負け組の数を減らずことは可能かも知れない。