初場所は栃東優勝で終わったわけだが

 前半戦から朝青龍が本調子でないと見ていたデーモン小暮閣下はさすが。それでも自力の差でなんとか勝ってきた横綱であったが、腕をケガしたからはもう横綱相撲は取れなくなっていた。
 千秋楽、栃東朝青龍との対決で優勝を決めた。調子のいい白鵬よりケガをしている横綱の方が分があると考えるのは当然であろう。
 しかし栃東が優勝しても相撲ファンが冷静で、決して誰も「青栃時代の到来」なんてことは言わない。琴欧州大関に昇進した際に「青欧時代到来」なんて言葉が踊ったことに比べて、この冷静さは何だ?多くの相撲ファンにとって「とにかく日本人の横綱を」が悲願だったはずではないか?
 確かに栃東はこれまでファンを裏切り続けてきた。場所が始まる前には日本人の3大関には期待する声さえ聞こえず、優勝候補に名前も挙がらない状況であった。多くの相撲ファンも「とにかく日本人の横綱を」と叫んでいた時代を既に過去のものと思い始めていた頃であったのである。
 栃東の優勝は素直に称えるが、まだ一場所だけで評価を上げたわけではない。まだ朝青龍が本調子であれば栃東との地力差はかなりあると見る好角家は多い。春場所朝青龍がどこまで調整できるかわからないが、朝青龍が調子の出ないうちに栃東にはとにかく勝ってもらって「鬼のいぬまに横綱」にならないと、あと5年は横綱に誰もなれないのではと考えていいるのである。栃東もそれが解っているようで、「最後のチャンス」との認識を匂わす発言をしている。
 ともかく相撲協会琴欧州大関昇進に続いて、栃東綱取り白鵬大関取りというコンテンツを確保できて胸を撫で下ろしているであろう。来場所は各力士の勝負であると同時に相撲人気回復の勝負の場所になるであろう。