自民支持率7ポイントも減少28%に

 毎日新聞が21、22の両日実施した世論調査によると、支持政党で自民党を挙げた人は28%で、昨年11月の前回調査より7ポイントも減少した。さきの衆院選ライブドア堀江貴文社長を自民党が実質支援したことや、耐震データ偽造問題で同党議員の関係が追及されていることが影響した、との見方が与野党から出ている。
 自民党の支持率は「郵政政局」が本格化した昨年8月以来、一貫して3割を超える水準を保っており、20%台は昨年7月の調査以来。年代別では20代を除くすべての年代で低下。とりわけ高齢層での支持離れが顕著で、60代は前回の52%から36%に、70代以上も47%から29%へと18ポイントも支持を落とした。この調査結果に武部勤幹事長は「厳粛に受け止め、国民の負託に応えるべく努力したい」とコメント。一方、民主党鳩山由紀夫幹事長は「小泉政権の本質が見えてきたということだろう。ライブドア問題では、人気があればいいじゃないかということで堀江社長を応援した。国民の皆さんも『けしからん』と嫌気が差したのではないか」と指摘した。
 ただ、民主党の支持率も20%から3ポイント減らし、支持政党なしが10ポイント増の41%に急増。自民支持層が無党派層となり、必ずしも民主党が受け皿となっていない実態をうかがわせた。

自民党の支持率はそろそろ下がるだろうとは思っていたが……。
 この調査における年齢層別分析は興味深い。高齢層における支持率低下はタイムラグ効果と見ることができる。小泉以降の自民党の政策は、日本の伝統や価値観を崩壊させるものが数多く含まれ、長年自民党を支持し続けてきた旧保守層には受け入れがたい性質のものであるが、高齢者層特有の「鈍さ」から総選挙の時は「小泉的なものはほんの一部で元々の自民党は変わっていない」とか「小泉首相はああ言っているが、地元の先生は昔と同じことを言っている。」という妙な安心感から自民党を支持し続けてきたのである。 しかし、総選挙以後、本当に小泉独裁によって自民党が変質してしまい、いよいよおかしいと気付いたのが高齢保守層の動向であろう。
 一方で20代の自民党支持率が上がっているのも注目される。この世代は今のツケを将来払わされたくないとの思いが特に強く、とにかく歳出削減を熱望する傾向にある。ただ失敗してもまだ親が助けてくれる*1年代でもあり、格差拡大に鈍感で、親の庇護の下セーフティーネットの必要性が薄いという点が結果に顕れている気がする。この層が30代になっても小泉的な政策を支持し続けるのかは甚だ疑問である。
 ちょうど総選挙の時は、旧保守層には昔ながらの自民党の表情を見せ、若者には新しい自民党のウインクを投げかける形で、かなり矛盾した支持層を同時に抱え込むこのに成功し圧勝した。しかしこれらの支持層を同時に抱え込み続けるのはムリなのは当然のことである。
 民主党の支持が下がっているというのも予想できたことだ。民主党自民党の支持から離れた旧保守層を吸収するのは非常に難しい。民主党は元々新自由主義志向の議員が多く、旧保守層の受け皿になる性格の政党でない。支持率拡大のために旧保守層をターゲットにして政策を出せば旧来の支持者が離反するというパラドックスを抱えており難しい。民主党が本当に自民党から政権を奪う気があるのだったら、最近自民党のコアな支持層になりつつある20代の若者を焚きつけるしかないのである。
 結局、旧保守層の受け皿になる政党が現在ないというのが現実である*2。強いて言えば国民新党なのであろうが、あの政党は選挙互助会の域を出ていないし、実は公明党が政策的に近かったりする訳であるが、宗教的なアレルギーが強い。更に言えば共産党の方が自民党民主党より旧保守層の考えに近いような気もするが、流石に共産党支持に転向する人はいないであろう。渡辺恒雄あたりが「共産党を再支持する」と言っても、私はあまり驚かないのではあるが…。

*1:小泉支持の特徴として20代の若者や専業主婦など、誰かが助けてくれる層で高い。

*2:旧保守層のフラストレーションがホリエモン叩きに繋がっているという穿った見方もできるが