また宝塚へ

 有馬温泉から大阪に向かう方法はいくつかある。梅田直行の高速バスがメジャーだが味気ない。最も便が多く早いのがJR福知山線西宮名塩駅までバスで行き電車に乗り換える手であるが、とりあず朝食が食べたいので、宝塚駅まで出ることにした。
 宝塚に出るバスは二系統あり、昔は蓬莱峡経由と鎌倉峡経由と言い、私が乗ったのが遠回りだが本数の多い鎌倉峡経由。しかし鎌倉峡は今は中国自動車道やバイパスで埋め尽くされて見る影もない。鎌倉峡というバス停は残っているが、もはや観光地としての価値はないようだ。
 有馬温泉は余り知られていないが神戸市北区に位置するのだが、バスはやがて西宮市内に入った。なぜこんな場所が西宮市なのか不思議な感じだ。西宮市とは六甲山を貫く有料のトンネル1本で結ばれているに過ぎず、このトンネルをバスが走っている訳ではなく、公共交通機関を利用して西宮市街地に行こうとすれば必ず宝塚市か神戸市を通らばければならない。西宮市の六甲山北側の住民は西宮市民であることに納得しているのであろうか?宝塚駅行きのバスの宝塚駅の一つ手前の生瀬バス停ここも西宮市である。宝塚市内に入るのは本当に駅の直前である。生瀬地区の人はさぞかし宝塚市編入を希望しているだろう。市の境で極端に地価が異なる世田谷区の喜多見のような現象が起きているのではないか?
 くだらないことを考えているうちにバスは宝塚駅についた、とりあえず朝食にありつく為に駅ビルの喫茶店に入る。大阪のモーニングは安いと聞いたが、やはり安い。この喫茶店は歌劇客目当てかビクトリア朝風のシックな内装が施され高級感を醸し出しているが、それでも400円であった。出勤前のおっさんと歌劇場に向かう有閑マダムが混在する不思議な風景の中朝食を済ます。