竹葉山と金親

 竹葉山金親。どちらも私には馴染みの力士だ。私は中学生の頃は場所中はテレビ観戦と相撲雑誌の講読を欠かさないほど相撲にはまっていた。竹葉山は幕内在位わずか2場所だが、十両で長く相撲を取っており、立会いの当りの激しさでは定評の合った力士だ。
 一方金親は幕内経験はないが、やはり十両が長く、力強さはないが足腰の柔らかさから粘りのある取り口が身の上であった。
 竹葉山は引退後、元小結廣川の宮城野親方が急逝し、急遽借株のまま宮城野部屋を継承した。ところが廣川の娘が一門外の北の湖部屋金親と結婚し、宮城野部屋を継承することになった。年寄になるには「十両と幕内通算30場所以上」の在位が必要だが、金親十両通算24場所の経験しかなく無資格だ。しかし部屋後継者と認定された場合は「十両と幕内通算20場所以上」で襲名できる。まさに金親のために規定があるようだ。
 金親北の湖の独立前からの内弟子でとにかくかわいい。北の湖金親角界に残すために工面したというのが専らの評判である。
 竹葉山は年寄名称宮城野と部屋を金親に譲って、自分は年寄名称熊ヶ谷を取得し部屋付きとなった。
 この背景を知っていると、週間ポストの狙いが理解できる。宮城野親方をゆするのは単に横綱白鵬の親方を叩いて面白いというレベルではないのである。角界のボス北の湖がかわいがってきた宮城野親方を叩くという面白さがある。単に元十両のキャリアしかない年寄なら、トカゲの尻尾切りで角界から消してしまえば済むのだが、北の湖が私情を殺せるか、または私情丸出しにして醜態を晒すか?この変の面白さを週間ポストは期待しているのであろう。
 北の湖が賢ければ、熊ヶ谷親方に資金を工面して宮城部屋から白鵬ともども独立させるという方法を取り、宮城野は目立たないように温存するのではないか?
 下世話な話は置いといて、宮城野親方はどうでもいいので、白鵬と熊ヶ谷には頑張っていただきたい。