最悪の方向に進みつつある道路特定財源問題

 昨年末、安倍内閣の政府「道路特定財源の見直しに関する基本方針」が発表された直後の日経BP猪瀬直樹のコラムを改めて読み返した。
 彼は玉虫色の決着だと批判するマスコミを逆に批判し、一定の評価を下した上で、一つの危惧を吐露している。

 僕が危惧しているのは、2007年の前半に国交省が「中期計画」を策定すること。向こう10年間で58兆円もの投資をするつもりで計画をつくる。道路需要について、真に必要な道路とはどのくらいなのか、そのコストはどこまで削減可能なのか、今から論争を始めなければ、手遅れになりかねない。

 この基本方針は「真に必要な道路は計画的に整備を進め、余った財源は一般財源化」という謳い文句で、「真に必要な道路とは何か」の定義のない極めて曖昧なものであった。
 見事に彼の危惧していた最悪の状況が起ころうとしているのである。既に06年12月の玉虫色の基本方針が策定された段階で、国土交通省と道路族議員の巻き返し工作の成功はほぼ約束されていた。道路公団改革の時もそうだが、猪瀬直樹は相変わらず認識が甘く、すぐに自己満足に浸る悪いクセがある。