左翼=日本が嫌い?

 TBいただいたid:good2ndさんへ。コメント欄が閉鎖されていたので、レスポンス用のエントリーです。

「わざわざそんなことしなくても、みんな日本好きじゃね?」っていう。たしかにそうだ、そうだったよ。左翼ったって別に日本嫌いなわけじゃないよー。そんなの思い込みだよー。そりゃまー、中にはそういう人だっているだろうけどさ。

 左翼=日本が嫌い というのは基本的には右翼のレッテル貼りだと思います。ただ「こんな政治が行われている今の日本が嫌い」みたいな言い方をする左翼はたまにいます。これは反日というより反政権言論と見たほうがいいでしょう。
 もちろん右派の一部に祖国と国家を同一視する思想があり、政権の批判=反日という戦中と同じ言論が為されることもあります。また最近の保守潮流の中に「反権力という態度に対する嫌悪感」みたいなものも存在し、そういた思考の中から、左翼に対しする売国奴レッテルが醸成されるのだと思います。
 もちろん左翼にも問題があり、政権批判のネタとして、諸外国の対日批判を利用してきたのも事実。相手は嫌日態度を介在させている可能性もあり、敵の敵は味方ぐらいの軽い気持ちで彼らの言説を利用するのは明らかに軽薄である。これについては8/22のエントリー「外圧と国内世論の歴史」で言及している。
話を元にも戻すと、左翼は余り自身の「愛国心」を強調しないし、「愛国心」を強調することを危険視する人も多いのは事実。だが、その人に愛国心がないかというとそうことではないようだ。日本大好きという共産党員も知っている。山田洋次監督などがそうだ。
 そもそも日本がアジアの中では特殊で、アジアでは左翼が愛国心を語るケースが多い。韓国が好例で、左翼の方がよりナショナリスティックで、右翼が親米・経済重視・現実的というスタンスだ。これはアジアで共通に見られる傾向で、植民地からの独立運動の中で、左派的イデオロギー民族主義が結びついた。右翼は植民地支配に協力していた旧来からの特権階級の末裔という構造である。アジアで数少ない植民地支配未経験国の日本だけが特殊なのである。
 しかし日本もまたアメリカの占領政策により、右派=アメリカに従順という特殊な現象が生じているので、特殊とも言えない部分がある。