一聴の価値のあるフェミウヨの少子化議論

 埼玉大学長谷川三千子と言えば、著名な女性保守論客(フェミウヨ)である。彼女が正論に書いた少子化議論について一聴の価値があると思ったので紹介する。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/62861/
 抜粋

 子供が3歳になるまでは常勤で働きたくないと考へてゐるのである。つまり彼女たちが求めてゐるのは、保育所や社内託児所の充実ではなくて、むしろ2人の子供を産み育ててゐる5、6年の間、一家が安心して暮らせるだけの賃金を夫が得られることの保証なのである。

 私は3歳児信仰に与する気はないが、確かに子どもが小さい時くらいは一緒にいてあげたいと思う母親が多いのも事実だと思う。彼女は「夫に十分な給与を与えよ」と主張している。保守の論客でこのことをはっきり言った点を評価したい。
 だいたい保守の論客は反労働・親財界の立場を取るのが決まりごとのようになっているので、間違っても「労働者の賃金を上げよ」と言わず、ただ労働運動を敵視する言論を発するのが常である。それでいて、女性の社会進出を敵視したりする。
 典型的なのが下村博文官房副長官で、昨年の11月に「(特にゼロ歳児保育に)税金投入するなら、(母親は)無理に働かなくても、家庭でしっかり子育てをやってもらえるようにシフトしていくことが望ましい」という発言をしている。安倍総理の取り巻きの特徴として、競争・格差を是認するネオリベラリズム思想と女性の社会進出に対してネガティブな保守的家族感が同居しているケースが多い。小泉政権が専ら前者の性格が強かったのと大きく様相が異なる。
 このことは国民にとって非常に不幸なことで、低所得者層の増加が進む一方で、保育所などの育児環境の整備への消極策が並立するのである。それでいながら子どもを生むのは当然的な強迫観念を蔓延さえようとする。少なくとも、低所得者層を増加させるような政策か、保育施設の整備に対する不作為いずれか一方でも止めてもらわなければ少子化など止まるわけがない。
 「夫に十分な給与を」という長谷川三千子の問題提起は非常に重要である。同時にネオリベラリズムと保守的家族感が同居する政治勢力は亡国の徒であり一刻も早く駆逐する必要があると感じた。