醜悪だった「朝生 新しい貧困特集」

 私は劣化の著しい田原総一朗の番組は基本的に腹立たしいので見ないが、今回は注目しているパネリストが多く出演するののでとりあえず見た。
 相変わらず、田原総一朗の醜悪な司会進行が、すべてをぶち壊していた。大事な議論が深まらず、どうでもいい新自由主義社民主義かというアカクロ論やレッテル張りに終始。最悪であった。 
 また田原総一郎渡邉正裕とかいう元日経の記者を連れてきて、団塊の世代で厚待遇を得ている世代の給料を下げろ、解雇しやすくしろと言うアジを散々やらせて、最後は連合が悪い、その支援を受けている民主党が悪いという最近の田原総一朗の常套句と同じことを言わせた。
 もう旧世代のリストラは90年代から行われており、給与のフラット化は相当進んでいて、まだそれが足りないとことさら騒ぎ立てるような問題ではない。しかも連合も同一労働同一賃金を主張して年功序列賃金が是等とは言っていない。世代間対立を煽って本質を見失わせるアジ以外の何者でもない。
 観覧者から権力側の人間と批判はされていたが、堀紘一自民党世耕弘成議員の方がまだまともなことを言っているように聞こえた。限られた椅子の奪い合いゲームの話をして世代間対立の話するより、どうやって椅子の数を増やすかという話をするのがよほど重要なのではないか?
 また社会的にはお金が必要な世代によりお金がいくようにしないとうまくない。特に少子化問題と直結する。今までは企業の年功序列賃金が社会的分配機能を果たしていたが、それについての限界は経営者も労働者も政治かも認めている訳である。
 反貧困ネットワークの湯浅氏や連合の川添氏はその辺に触れていたが、企業が社会的機能を果たす余裕がなくなったら国がやるのか議論しなければならない。田原総一朗は国に金などないに決まっているとか、自民党はなぜ消費税増税と言わないのかという議論に摩り替えて、まともに議論しようとしなかった。実に醜悪であった。
 あと残念であったのが、観覧者の団塊の世代に、未だに若者の貧困を若者の意欲の問題に矮小化して考えている人が多いのである。この問題は3年前まではニートという言葉が全盛となり、若者の貧困が自己責任であるかの如く宣伝されていたところを、NHK等が「ワーキングプア」の特集をやって、実は働く意欲があって実際に働いている人が劣悪な待遇で働かせれていることを明らかにし、自己責任という問題の矮小化から救われたと思っていたのだが、本当に残念であった。
 これでは、田原総一郎渡邉正裕の世代間対立を煽るプロパガンダが有効化しても仕方ない。若者は団塊の世代にムカつき、団塊の世代が不利益を蒙る各種政策に拍手喝采するようになる危険性がある。若者が新自由主義者を支持した時代に逆戻りする危険性を感じた。

今回のレッドカード

田原総一郎 渡邉正裕(マイニュースジャパン代表、元日経新聞記者)観覧に来ていた団塊の世代おやじ