バイパス建設を中止せよ!〜高速道路無料化で忘れられた議論〜

 私は高速道路の無料化施策には基本的には反対であり、既存の高速道の大部分は無料化しない方がいいと思ってはいるが、無料化した方がいい区間もあり得るので、朝日新聞的のように「たとえ地方の一部路線であっても無料化は反対」という原理主義的主張は首を傾げている。

特に地方の道路は無料でもいい。厳密に言えば、幹線は4車線国道と高速道路を、亜幹線は無料の自動車専用道路を整備し、やたら多い○○バイパスといった道路計画は大幅に見直すべきだと考えている。
 馬淵国土交通副大臣が野党議員になかなか面白いことを言っていた。地方の道路建設計画では、高速道路があるのに、並行して国道バイパスの建設が計画されていたり、交差点がほとんど立体交差化fされた立派なバイパスがあるのに別に高速道路の建設が計画されているところがたくさんある。高速道路は有料なので、日常的な道路整備として別にバイパスの必要性が語られるが、無料の高速道路があれば日常生活道路としても活用でき、旧道―バイパスー高速と3つも道路を用意しなくても、2つで十分になると。
 私は基本的にこれ以上バイパス建設を止めて、自動車専用道路に一本化すべきだと思う。バイパスはただ単に建設費用がもったいないだけでなく、街のスプロール化を加速させ、中心市街地を衰退させ、街を自動車交通中心の構造に変貌させ、公共交通機関を衰退させる。スプロール化した街は行政非効率を招き、税金が無駄に垂れ流されるだけである。
 自動車専用道路は沿道に商業施設は立地できないため、インターチェンジ周辺の都市計画をしっかりコントロールできれば、バイパスのような弊害は起きにくい。
 ところが、いざ民主党政権を取ってみると、このような話は聞かれなくなった。高速道路無料化は弊害の指摘ばかりが議論になり、民主党議員も公約で掲げてしまった以上引っ込みがつかないという感じで、適当にお茶を濁そうとしている。まあ原則反対論者の私には想定内の落とし処になりそうでそれはそれでいいのだが、バイパス建設の抑制という副産物が語られないのは大変不満である。
 なぜ言わないのかはだいたい判っている。総選挙前はほとんどの地方首長が高速道路無料化に反対していたのだが、どういう訳か広島県島根県の知事が無料化の陳情をしたり、実利重視の動きを見せている。ここでバイパス建設の中止など謳えば、せっかく無料化を期待する流れもできたのを潰してしまうからだ。
  地方の民意が極大化される参院選が迫っている時期は、地方に厳しい政策は封印されることが多いので大きな期待はしてないが、今後、建設の要望が出そうなバイパスに並行する高速道路は先手を打って無料化実験を行って欲しい。伊勢自動車道の津以南を無料化したのはよかった。これによって中勢バイパス、松阪多紀バイパス、南勢バイパスの整備の大義名分が失われる。常磐自動車道のいわき中央〜常磐富岡も無料化実験をして欲しかった。ここが無料になれば久之浜バイパス建設の大義名分が失われる。他にも高速道路が並行しながら建設が予定されているバイパスは多数ある。このような視点を持って高速道路無料化実験を行って欲しかったものだ。
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